伊達政宗公の草履取りに平四郎という青年がいました。忠実な彼は正宗公の履く下駄を懐で温めて差し出したところ「下駄の温かさは汝の尻に敷きし為、無礼物め」と下駄で眉間を割られ深い傷を受けました。
あまりの仕打ちに彼は出家してこの怨みをはらすべく、仏書をあさり学識を深め人格を錬磨、星霜二十年彼は高徳僧正名僧となりました。 唯々怨みを晴らさん為の難行苦行の中で彼の復讐心は消え、自分が僧正になれたのは怨敵のおかげとっ感謝すれば、正宗公も過去の罪障の赦しを乞い、偏に僧正に詫びたといいます。
お互い相敬って、怨恨争い、誹謗をしてはならないという仏の教えです。