親子夫婦兄弟一つ家に生活するという「因縁」は今世だけの一朝一夕のものではなく、過去世からの宿業です。親が子を愛し、子が親を慕うのは自然の情です。
江戸末期の歌人橘曙覧(たちばなあけみ)は、こんな歌を残しています。
「たのしみはまれに魚にて子等みなが うましうましと云うて喰う時」
家族みんなで卓袱台(ちゃぶだい)を囲み、からだとからだを寄せ合って楽しく食事している光景が浮かびます。家族の愛情で包まれた愛。愛は、まず家庭から始まり家庭に住まうもの。人生無上の幸福は愛されているということです。